こんにちは、管理人のRです。
この記事では、
「PEST分析ってなに?」
「外部環境を分析するのにおすすめの方法ってない?」
という方に向けて書いています。
この記事は(一財)ブランド・マネージャー認定協会のテキストをもとに書いています。
また管理人は、ブランド検定3級資格取得者です。
目次
〇PEST分析とは
PEST(ペスト)分析とは、マクロ(外部)環境を分析するフレームワークのことです。
「PEST」は、「Political:政治的」「Economic:経済的」「Social:社会的」「Technological:技術的」のそれぞれの頭文字をとった言葉です。マクロ(外部)」というのは、自社商品またはサービスの業界のさらに外側にある、経済や社会のことを指します。
PEST分析は、アメリカの経営学者でありマーケティングの第一人者として有名なフィリップ・コトラー氏が提唱した分析手法です。コトラー氏は著書の中で、「調査せずに市場参入を試みるのは、目が見えないまま市場参入するようなものだ」と述べていて、環境分析の重要性を語っています。
マーケティングでは様々な分析手法が用いられますが、そのなかでもPEST分析は「外側」に特化した分析となるため、マーケティングやブランディング活動において、一番最初に行われる分析だったりします。
〇PEST分析の目的
PEST分析の目的は、「外部を分析し、自社ビジネスがどのような環境下にいるのかを知ること」です。
例えば、海外がとても好きなAさんが、2021年に海外旅行系のビジネスを起ち上げようとしていたとします。競合や自社の分析はカンペキで差別化もできそう!となったとして、果たしてうまく成功できそうでしょうか?
おそらくですが、多くの方が難しいだろう、という答えになると思います。理由は新型コロナウィルスがまだ収束していないからです。
ただ逆に、新型コロナウィルスが落ち着いたら、旅行需要が急拡大し、ビジネスが成功する可能性はぐっと高まりそうですよね。
このように、自社やその業界を知るだけでは不十分で、さらに外側の環境を知ることで、ビジネスが成功する可能性は大きく変わります。
PEST分析では、まずはもっとも外側から状況把握をすることで、効率よくブランディングや事業拡大のタイミングを見極めることができるようになります。
〇PEST分析のやり方
では実際に、どのようにPEST分析を行えばよいのでしょうか?
通常はPEST( 「Political:政治的」「Economic:経済的」「Social:社会的」「Technological:技術的」 )のそれぞれの要素を細分化しながら、フレームワークを用いて整理していくケースがほとんどだと思います。
そこで、PESTはどのような要素があるのか、どのようなフレームワークを用いるのかをご紹介します。
PESTの要素
要素は一概にすべて決まっているわけではありませんが、代表例は下記の通りです。
P(Political):政治的な環境要因
- 法律、条例
- 裁判、判例
- 税制
- 政権体制
- 公的補助、助成
E(Economic):経済的な環境要因
- 景気、物価
- 株価、為替の影響
- 金利
- 消費者の可処分所得
- 企業設備の投資動向
S(Social):社会的な環境要因
- 人口
- 世論
- 流行、文化
- 宗教、言語
- インフラ
- 生活習慣、ライフスタイルの変化
- 自然環境の変化
T(Technological):技術的な環境要因
- 新技術
- 特許
フレームワーク
よく見かけるPEST分析のフレームワークは、下記のような図と思います。
こちらを大きくプリントアウトしたりホワイトボードに書き込んだり、あとは該当の箇所に当てはまりそうな要素を、チームメンバーそれぞれが付箋に書いて貼っていく、というのがオーソドックスなやり方かなと思います。
ちなみに、私はホワイトボード代わりにスプレッドシートを活用しています。
いまは在宅勤務がメインのためチームで集まりづらいというのと、いきなり先ほどのフレームワークを見せて「じゃあ書き込んでいきましょう!」と言っても、なかなか意見が出づらいだろうと思っているため、このような工程を挟んでいます。
使い方はまず、こちらのスプレッドシートを関係者に共有し、図2にブレスト形式で記入してもらいます。意見が出づらくなった時のために、「ヒント」も記載しています。
記入完了後、自社に関係がありそうなものを、図3で振り分けます。
プラス要因であれば青枠に、マイナス要因であれば赤枠に記入します。
図3までの記入が完了後、図1のフレームワークに戻り、整理しながら記入します。
〇PEST分析時のポイント
PEST分析を行う上で、やみくもに意見をひねり出そうとしても、うまくいかないこともあります。そんなときは、下記のことを意識してみると意見が出やすくなるかもしれません。
POINT1. 要素の「カテゴリ」は、そこまで正確じゃなくてOK!
例えば、いまインフラが強化されている「5G」は、「Social(社会的)」と「Technological(技術的)」のどちらに入りますでしょうか?
結論、現段階ではどちらでも構いません。
理由は、どちらのカテゴリに入っていたとしても、世の中の動向を知るという分析の目的に対してはあまり影響はないからです。
カテゴリよりも、要素それぞれが「もれなく、ダブりなく」になることを意識するようにしましょう。
POINT2. 国や都道府県のHP、新聞を調べる
チームでブレスト会を行うのもよいですが、すでにある知識の中で意見を出し合うのも限界があります。また、マクロ要素が出尽くされてくると、だんだん自社に絡んだ話が出てくるようになることが多いです。
そんな時、国や都道府県のHP、また新聞などから情報を探してみるとよいです。
特に新聞がオススメで、信頼度のある最新の情報を、ほぼ毎日知ることができます。
私も日経MJを購読しており、その情報をチームに共有すると、感嘆符のつくような感想をけっこうな頻度で頂きます。
また、PRを戦略に入れるのであれば、その内容をもとにプレスリリースを考えアプローチできたりもするので、非常にオススメです。
〇PEST分析の注意点
最後に、PEST分析の注意点を3つお伝えします。
注意1. 要素の影響力や時間軸も考える
要素のブレストが終わり、選定を行うタイミングで、それぞれの要素の影響力や時間軸も意識するようにしましょう。
例えば、いくら自社にとってプラスとなるマクロ要素があったとしても、一部の団体のみがひたすら推進しているものや、数か月後にはほぼ確実に終わりをむかえていそうなマクロ要素は、その後に注力しても見返りが得られない可能性があります。
インパクトがあり、長期的に続くようなマクロ要素を優先的に抑えるようにしましょう。
注意2. PEST分析は万能ではない
PEST分析はマクロ環境を把握するための、自社ビジネスの土台となるようなものです。そのため「マクロ環境さえ分析すれば、市場分析はOK!」というわけではありません。
PEST分析が完了後、3C分析やSWOT分析を行い、自社や競合の強みや弱み、消費者の情報を補完する分析も行っていきましょう。
注意3. 環境は変化する
PEST分析は一度やったら終わり、というわけではありません。
環境は常に変化しますので、更新していない分析結果をいつまでも使い続けていると「あれ、いつの間にか時代遅れになっている、、?」なんてことも考えられます。
ブランドマネージャーを中心に、定期的にメンテナンスしていくことをオススメします。
〇おわりに
いかがでしたか?
PEST分析は、ブランディングや市場調査で、まず最初に行うと効果を発揮しやすい分析手法です。一方で、普段「今月の売り上げが~」「来月の注文件数が~」という話ばかりしていると、どうしても視野が狭くなり、環境理解が至らなくなってしまいます。
「なんか自社の立ち位置が良くわからないな…」と思った方は、一度立ち止まって、チームで話し合ってみるとよいかもしれませんね。
それでは最後までご覧いただき、ありがとうございました~!