「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」という言葉を聞いて、違いがよくわからないと悩んでいませんか?リードジェネレーションは「見込み客(リード)を集める活動」、リードナーチャリングは「集めた見込み客を育成する活動」を指します。
この記事では、2つの明確な違いとそれぞれの定義、そしてMAやCRMといったツールとの関係性まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
RBtoBマーケティングの現場では必ずと言っていいほど出てくる言葉なので、違いを理解しておきましょう!
リードジェネレーションとリードナーチャリングの定義と違い
この2つの用語は、マーケティング活動において密接に関連していますが、その役割は明確に異なります。
リードジェネレーションは「見込み客を集める」
リードジェネレーション(Lead Generation)は、直訳すると「見込み客の創出」です。自社の商品やサービスに興味を持ってくれる可能性のある人(=見込み客、リード)の情報を集める活動全般を指します。
例えば、展示会で名刺を集めたり、Webサイトから資料請求をしてもらったりすることがこれにあたります。
リードナーチャリングは「見込み客を育てる」
リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、「見込み客の育成」という意味です。集めた見込み客に対して、継続的に有益な情報を提供し、関係性を深めながら、購入意欲を高めていく活動です。
すぐに商品を買うわけではないけれど、将来的に顧客になる可能性のある人を「育てる」イメージですね。
なぜ両方が必要なのか
リードジェネレーションだけだと、集めた見込み客が放置され、他社に流れてしまうかもしれません。逆にリードナーチャリングだけでは、育成する対象の見込み客がそもそもいません。見込み客を集め(ジェネレーション)、その人たちを育てる(ナーチャリング)。この2つが連携して初めて、成果を生み出すことができます。
リードジェネレーションとは
もう少し詳しく見ていきましょう。まずリードジェネレーションは、具体的にどのような目的で、どんな方法があるのでしょうか。
リードジェネレーションの目的
目的はシンプルで、「営業部門に渡すことができる質の高い見込み客(リード)を安定的に獲得すること」です。ここで重要なのは「質」です。ただ情報を集めるだけでなく、自社のターゲット層に合致した、将来顧客になり得る可能性の高いリードを集めることが求められます。
オンラインの手法
2025年現在、オンラインでのリードジェネレーションは主流となっています。SEO対策をしたオウンドメディア(ブログなど)での情報発信、SNS(XやInstagramなど)での広告や交流、Web広告(リスティング広告やディスプレイ広告)の出稿、ホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロードなどが代表的です。
オフラインの手法
インターネットを使わない、従来の方法も依然として重要です。展示会や見本市への出展、自社開催のセミナーやイベント、新聞・雑誌広告、ダイレクトメール(DM)の送付、テレアポ(電話営業)などがこれにあたります。最近はオフラインで接点を持ち、オンラインで情報を補完するなど、組み合わせる戦略が一般的です。



経験上、量はオンラインで獲得しやすく、商談率といった質のよいリードは展示会などのオフラインきっかけが多い印象です。
リードナーチャリングとは
次に見込み客を「育てる」リードナーチャリングについてです。
リードナーチャリングの重要性
インターネットの普及で、顧客は自分で情報を集めて比較検討するようになりました。またBtoBの場合、商品やサービスの決裁権が自分にないケースが多く、獲得したリード(見込み客)がすぐに購入を決めてくれるとは限りません。
そこで中長期的に関係性を築き、「買うならこの会社から」と信頼してもらうための「育成」プロセス、つまりリードナーチャリングが重要になってきます。



BtoBでは、「導入したいけど今期予算は決まっているので、来期から、、」というケースもありますね。
ナーチャリングの具体的なステップ
一般的には、まず集めたリードを「興味の度合い」や「属性」で分類(セグメンテーション)します。次に、その分類に合わせて「どのような情報を」「どのタイミングで」提供するかのシナリオを設計します。そして、そのシナリオに沿ってコンテンツ(メールや資料など)を届け、反応を見ながら改善を繰り返します。
メールを活用した手法
代表的な手法がメールマーケティングです。集めたメールアドレス宛に、お役立ち情報や事例紹介などを「メールマガジン(メルマガ)」として一斉配信する方法や、特定の行動(資料ダウンロードなど)を起こした人向けに段階的にメールを送る「ステップメール」などがあります。
コンテンツ・セミナーの手法
メール以外にも、Webサイト上で見込み客の検討段階に合わせた詳しい資料(導入事例集、比較表など)を提供したり、特定のテーマに関心がある人を集めてオンラインセミナー(ウェビナー)を開催したりするのも有効なナーチャリング手法です。ウェビナーは特に、参加者の熱量を測りやすいため人気があります。
リード獲得から育成までのプロセス
ここまでご紹介したように、リードジェネレーションとリードナーチャリングは、独立しているわけではなく、一連の流れの中にあります。マーケティング活動全体の中で、これらがどう連携しているのかを見てみましょう。
マーケティングファネルでの位置づけ
マーケティング活動はよく「ファネル」に例えられます。広い入り口(認知)から入り、段階的に絞り込まれて購入に至るイメージです。リードジェネレーションは、このファネルの入り口を広げ、見込み客情報を獲得する「上層部」にあたります。リードナーチャリングは、その下の「中層部」で、見込み客をふるいにかけ、育成する役割を担います。
リード引き渡しの流れ
リードジェネレーションで獲得したリードは、すぐに営業に渡されるわけではありません。まずナーチャリングによって育成され、購入意欲が一定の基準まで高まったリード(「ホットリード」と呼ばれます)が選別されます。そして、そのホットリードの情報が営業部門に引き渡され、具体的な商談につながっていきます。
営業部門との連携
マーケティングの成果を最大化するには、営業部門との連携が不可欠です。マーケティング部門は「どんなリードを渡せば営業が動きやすいか」を理解し、営業部門は「渡されたリードのその後の結果(商談になったか、成約したか)」をフィードバックする必要があります。この情報連携が、施策の改善に繋がります。
MA・CRM・SFAとの関係
リードジェネレーションやナーチャリングを効率的に行うために、様々なツールが使われます。よく耳にするMA、CRM、SFAといったツールと、今回のテーマとの関係性を整理しましょう。
MAの役割
MAは「マーケティングオートメーション」の略です。リードナーチャリングのプロセス、特にメール配信や見込み客のスコアリング(点数付け)などを自動化・効率化するためのツールです。
リードジェネレーションで獲得したリード情報を管理し、ナーチャリング施策を実行する中心的な役割を担います。
CRMの役割
CRMは「顧客関係管理」ツールです。主に「既存顧客」との関係性を管理するために使われます。購入履歴や過去の問い合わせ対応などを記録し、長期的な関係維持(リピート促進やサポート)に役立てます。
まずは、MAが「見込み客の育成」中心なのに対し、CRMは「既存顧客の管理」中心、と覚えておくと分かりやすいでしょう。
SFAの役割
SFAは「営業支援システム」で、主に営業部門が使います。商談の進捗状況や営業活動の履歴を管理するツールです。MAやCRMで育成されたホットリードがSFAに渡され、そこから先の商談管理はSFAで行われます。これらをスムーズに連携させることで、マーケティング活動がどれだけ売上に貢献したかを可視化できます。
ツール導入のポイント
これらのツールは非常に高機能ですが、導入するだけで成果が出るわけではありません。「リードジェネレーションやナーチャリングにおいて、どの業務を効率化したいのか」という目的を明確にすることが重要です。また、ツールを使いこなすための体制やスキルも必要になるため、自社の状況に合ったものを選ぶことが大切です。



MA、CRM、SFAどのツールも価格や性能はピンキリなので、自社にあったツールかどうかをしっかり比較してから導入しましょう。
リードジェネレーションとリードナーチャリングを連携させよう
この記事では、リードジェネレーション(見込み客の獲得)とリードナーチャリング(見込み客の育成)の違い、それぞれの手法、そしてマーケティングプロセス全体での流れを解説しました。
リードジェネレーションで集めた見込み客を、リードナーチャリングで丁寧に育て、関係性を築くことが、現代のマーケティングでは重要となっています。どちらか一方だけでは成果は最大化しないため、この2つをうまく連携させることが、最終的な売上向上に繋がります。
まずは2つの役割の違いをしっかり理解し、日々の業務で実践していきましょう。









