この記事は、
「アンゾフの成長マトリクスってなに?」
「アンゾフの成長マトリクスはどうやって使うの?」
という方に向けて書いています。
管理人はマーケター歴5年兼ブランド検定1級資格取得者で、現在はフリーランスとしてBtoC or BtoB問わず様々なクライアントの事業支援をしております。
できるだけわかりやすく書いてみましたので、この記事を少しでもお役に立てていただければ幸いです。
目次
アンゾフの成長マトリクスとは
アンゾフの成長マトリクスについて、早速ですが下図をご覧ください。
上図がアンゾフの成長マトリクスです。図の通り、アンゾフの成長マトリクスとは、縦軸に市場、横軸に製品・サービスを設定し、さらにそれぞれを既存or新規と4象限に分けた表(マトリクス)のことを指します。
このアンゾフの成長マトリクスは、ロシア系アメリカ人の経営学者、イゴール・アンゾフ氏(1918年~2002年)によって提唱されました。
1965年、アンゾフ氏自身の著書によって提唱されたこの成長マトリクスですが、60年近く経った今でも非常に有効な戦略フレームワークとして活用されています。
以下、各象限について解説していきます。
市場浸透戦略(既存市場×既存製品)
アンゾフの成長マトリクスの左上の象限「市場浸透戦略」は、既存の市場へ既存製品・サービスの展開を考える、いわばシェア拡大の象限です。
全象限のなかで既知な要素が最も多いため、そういった意味では最も考えやすい領域ともいえるでしょう。
例)
- 業界が成長し自社製品に対する評判もよいが、思うように認知が広がらない
- 事業が順調で、さらに成長させて業界No.1を取りたい
新市場開拓戦略(新規市場×既存製品)
アンゾフの成長マトリクスの左下の象限「新市場開拓戦略」は、新しい市場へ、既存製品・サービスの導入を考える象限です。
例)
- 自社サービスを海外展開したい
- 女性向けとして化粧水を販売してきたが、男性にも需要がありそう
新製品開発戦略(既存市場×新規製品)
アンゾフの成長マトリクスの右上の象限「新製品開発戦略」は、既存の市場へ新しい製品・サービスを展開するときに考える象限です。
例)
- 競合が自社よりも高機能な製品を打ち出してきて、シェアが奪われ始めている
- さらなる顧客獲得をするため、自社製品に付加価値をつけたい
多角化戦略(新規市場×新規製品)
アンゾフの成長マトリクスの右下の象限「多角化戦略」は、新しい市場に新しい製品・サービスを投入しよう、という、最もチャレンジ性のある象限です。
自社の強みが明らかに派生できそうな時、とある市場の差別化ポイントがはっきりと見えた時などに選択します。未知な要素が多く失敗もしやすい領域ですが、その分企業にとっては最もリスク分散が可能になり、ハイリスクハイリターンな象限とも言えます。
例)
- 既存事業が業界の衰退とともに低迷期に入り、経営危機に陥っている
- 既存事業は順調だが、1本柱のため、新しい収入源が必要
なお、多角化戦略はさらに深堀りすることができ、「水平型多角化」「垂直型多角化」「集中型多角化」「集成型多角化」の4つにわけることができます。
混乱しないよう、これ以上はまた別の機会で解説することにしますが、「多角化戦略は、他の象限よりもちょっと奥が深い」ぐらいで頭にとどめておきましょう。
アンゾフの成長マトリクスはいつ使うのか
アンゾフの成長マトリクスは、戦略フレームワークとして非常に序盤に使います。
事業を拡大するときや新しい製品・サービスを展開するとき、多くの場合、まずはどのような拡大戦略を立てるのか、と議論されます。
その時、アンゾフの成長マトリクスでどの象限を攻めるのか、と会話し定義しておくことで、今後の議論をブレないようにすることができます。
特に、ブランディングではPEST分析や3C分析などの環境分析を比較的序盤で行うのですが、アンゾフの成長マトリクスはその中でも最も最初に使う戦略フレームワークです。
最初にアンゾフの成長マトリクスで攻める象限を定義することで、PEST分析でどの外部環境を整理するのか、3C分析でどの競合をピックアップするのかといった方向性を定めることができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、アンゾフの成長マトリクスについてご紹介しました。
アンゾフの成長マトリクスは、マーケティング担当になりたての方はあまり聞いたことはないのではないかと思います。
一方で、こういった戦略フレームワークを頭の中にもっていると、上司や経営陣と建設的な議論ができますし、普段の業務でも俯瞰した考え方ができるようになりますので、これを機にぜひ覚えておいてくださいね。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました~!