こんにちは、管理人のRです。

この記事では、
「有力なアフィリエイターが、ASPを変えたいと言ってきたけどどうしよう…」
「複数のASPが『あのメディアさん、うち経由でやりたいと言っています』と言ってきて、もうどう対応したらよいかわからない…」

という方に向けて書いています。

今日の記事の内容は、広告主側のアフィリエイト担当ならおそらく誰しもが通るであろう、「ASPの切り替え」という非常にややこしい案件です。私も何度か経験しましたが、一番苦労したものだと、とあるASPと自社の信用問題にまで発展し、全取引を停止するかどうか、というところまで話が膨らみました。

さらには基本的にネットで調べても対処法が出てこない話なので、この記事を開いたアフィリエイト担当のあなたにはぜひ読んで頂きたい内容です。

担当することになったばかりの方でも理解しやすいよう、できるだけわかりやすく書きましたので、ぜひ最後までご覧ください!

〇アフィリエイターのASP切り替えとは?

広告主側でアフィリエイト担当をしていると、時々「いまA8(ASP)で件数を獲得してくださっている○○というアフィリエイターが、afb(ASP)との商流に切り替えたいと言ってきています」という話が出てきたりします。

これがアフィリエイターのASP切り替えです。

ASPは、基本的に広告主とアフィリエイターの間に立ち、件数拡大に貢献する役割をもって仲介手数料を得るビジネスモデルです。

画像1:ASPのビジネスモデル

ASPは、アフィリエイターが件数を発生させればさせるほど会社の収益が上がるため、基本的に有力なアフィリエイターほど良きビジネスパートナーとして重宝しています。

しかし、有力なアフィリエイターは別のASPにとっても非常に魅力的なため、他社ASPで活躍しているアフィリエイターに良い条件を提示して「うちで取引しませんか?」と引き抜こうとします。また逆に、いまのASPに不満を持っているアフィリエイターが「ほかのASPでもっと良い条件でやらせてもらえないかな~」と考えれば、自分から別のASPへ打診をしたりもします。

アフィリエイターは、他社ASPからの引き抜きの話を断ることももちろんありますが、条件に満足し切り替えOKすれば切り替え先(仮)のASPから広告主へご相談がいく、ということになります。

〇ASP切り替えによるメリット・デメリット

ここで、ASP切り替え時のメリット・デメリットを、それぞれの立場から整理しておきましょう。

▼アフィリエイター

アフィリエイターのメリット

・成果報酬等が良い条件になる
  →ASPを切り替える主な理由です。

・既存ASPへの不満の解消
  →有力アフィリエイターには、サイト運営で独立して生計を立てている方もいらっしゃるため、ある意味命がかかっています。そのサイトの拡大にASP担当者が注力してくれない、という切り替えの理由も聞いたことがあります。

アフィリエイターのデメリット

・リンクの貼り換え等、切り替え作業に手間がかかる
  →全記事内の飛び先を変更するため、大きなサイトであればあるほど手間がかかります。

・既存ASPとの関係値にヒビが入る可能性がある
  →広告主に直接は関係ありませんが、既存ASPのご担当者の売上が下がるため、アフィリエイターはコミュニケーションを意識する必要があります。

▼(切り替え前の)ASP

(切り替え前の)ASPのメリット

・特になし
  →切り替えられないよう、ASPは普段からアフィリエイターを満足させる必要があります。

(切り替え前の)ASPのデメリット

・売上が落ちる
  →アフィリエイターが有力であるほど、切り替え前のASPの売上は落ちます。

▼(切り替え後の)ASP

(切り替え後の)ASPのメリット

・売上が上がる
  →アフィリエイターが有力であるほど、切り替え後のASPの売上は上がります。

(切り替え後の)ASPのデメリット

・特になし

▼広告主

広告主のメリット

・アフィリエイターのモチベーションが上がり、さらなる件数UPが見込める

・両ASPご担当者のやる気を引き出せる
  →ASPご担当者は、大きな魚を逃さないようにするため、条件面やコミュニケーションで頑張ってくれます。

広告主のデメリット

・広告主側の報酬負担増
  →新しいASPと広告主は、お互いにメリットがあるため切り替えを希望しています。そのしわ寄せが広告主に来ないよう、ASPと交渉する必要があります。

・新たな契約やプログラム作成などの手間
  →これまで取引のないASPへ切り替えを行う場合、新たに基本取引契約やプログラム作成に伴うバナー素材や諸条件の記入などが必要になります。

・既存ASPとの関係値にヒビが入る可能性がある
  →ASP切り替えを行った場合、切り替え前のASPの売上を下げることになるため、ケアが必要です。

〇広告主の対応方法

それでは実際に、私の広告主としての対応方法をご紹介します。

①両ASPに事実確認をとる。

ASP切り替えの話が来たら、まずは両方のASPの主張を確認します。

新しい切り替え先(仮)のASPから話が来た場合、既存ASPのご担当者へ「○○のアフィリエイターさまが、ASPを切り替えたいご意向との話を受けたのですが、貴社経由でもご確認いただいてもよろしいでしょうか?」と連絡します。

ここで返事を待ち、切り替えの合意が取れれば実施、合意が取れなければ両ASPへエビデンスの提出を依頼します。

エビデンスは、「このASPと継続して取引をします」や「ASPの切り替えを行います」という、チャット上のやり取りをスクショしてもらえればOKです。

片方からでももらうことができれば、もう片方のASPへそのエビデンスを送り、再度確認してもらいます。

この確認で改めて切り替え実施可否の判断ができればクリア、なぜか両方のASPからエビデンスがくる(笑)などした場合は②へ、という流れになります。

ちなみに、ここまででクリアになる可能性は経験上6割程度です。エビデンスがあったとしても結構もつれたりしますので、この提案がきた時点で時間がかかることを覚悟しておきましょう。

②アフィリエイターへの直接連絡の可否確認

①で解決しなかった場合、「アフィリエイターと直接話をさせてほしい」と両ASPに提案してみましょう。

「アフィリエイターが自社(ASP)と取引したい」と言っているのであれば、直接意向を確認しても問題ないはずなので、無理な主張ではありません。

ただし、どちらのASPからも「直接のコミュニケーションはNG」と言われる可能性もあります。広告主がASPを贔屓して話をしたり、そもそものASPの立場としての仲介役が必要なくなってしまう可能性があるためです。その場合は③にいきます。

③広告主として好条件の選択

②までで進展が見られそうになかった場合、アフィリエイター側の真意を確認することは不可能です。そのため、「広告主視点では、どちらのASPも同じ主張でアフィリエイター側の意図もわからないため、より良い条件を提示してくれた方を希望します」と両ASPに伝え、広告主としての真っ当な姿勢を見せましょう。

とはいえ、両ASPからの条件が同じだったり、多少の誤差範囲内の差であれば既存ASPを優先しましょう。その方が切り替えを行う手間もかからないですし、ここまで一緒に拡大してくれたASPを優先した方が、お互いの感情的にもよい状態でいられるためです。

これができれば、あとは両ASPとメディア間で決めてもらう話になるので、より良い条件または結論が出るまで待っていればOKです。

④取引しないことになったASPへのケア

③で取引をするASPが決まったところで、一件落着となります。ただし、今後の関係値を崩さないよう、取引しないことになったASPへのケアは忘れないようにしましょう。

ケアと言っても、特別に何かをするわけではなく、「今回はご縁がなく恐縮ですが、引き続き他の媒体で件数拡大に向けて頑張っていきましょう!」と、通常通りのコミュニケーションをとればOKです。

〇広告主の注意点

最後に、ASP切り替えの話が起きたときの注意点をお伝えします。

1. アフィリエイターの意向を最優先に考えよう!

ASP切り替えの話の時は、「アフィリエイターはどうしたいか?」ということを常に頭の真ん中に置いておきましょう。

仮に自社(広告主)のことばかりを考えていると、どうしても成果報酬が低くて済む方を選択してしまうことになるので、アフィリエイターにとって条件が悪く、最悪の場合「この会社の商品、もう紹介するの面倒になってきたな…」と考えられてしまいます。

また、広告主としてASPへ「アフィリエイターさまのご意向なので、申し訳ありませんが別のASPへ切り替えさせて頂きます」と伝えれば、切り替え前のASPも「(アフィリエイターさまのご意向なら仕方ないか…)」と納得してくれます。

広告主側としてよっぽど条件が悪くなるのであれば話は別ですが、基本的にはアフィリエイターのモチベーションが高くなるような選択をしましょう。

2. 事実ベースで動こう!

いくら片方のASPご担当者と仲が良くても、「この人はウソつかないから大丈夫だろう!」と判断して進行するのは絶対にNGです。

私が経験した例で言うと、両方のASPが「あのアフィリエイターさんはうちとやりたいと言ってました!」と主張し、「(どちらかがもう少し頑張ろうと粘ってきているな…)」と思うことがあったのですが、結論、アフィリエイター側が両方のASPへ少し濁した回答をしていたことで話がうやむやになり、どちらのASPも粘ろうとしていたわけではなかった、ということがありました。

この時、もし関係値が微妙だった方のASPを切ってしまっていると、「あの会社は偏見で物事を判断するぞ」と思われ、その会社との関係値やASP業界に良くない評判が流れてしまいます。

普段からどれだけ担当者との関係値が築けていたとしても、しっかり事実ベースで判断するようにしましょう。

3. ASPとアフィリエイターは、敵ではなく大事なパートナー!

ASP切り替えの話が複雑になってくると、「(誰かが場を混乱させているな…)」と疑心暗鬼になり、すべての登場人物を疑いの目で見るようになってしまいます。

そうなると、通常のコミュニケーションの節々に感情が現れ、場がさらにギクシャクしてしまう恐れがあります。

本来は全員が協力し合い、ビジネスを拡大するためのパートナーです。

事実ベースで追及すべきところは追及しつつ、あくまで中長期的にお互いのビジネスを拡大させるための話であることは忘れないようにしましょう。

〇おわりに

いかがでしたか?

個人的に、今日ご紹介したアフィリエイターのASP切り替えの話は、広告主側のアフィリエイト担当にとっていちばん苦労する話かなと思います。

ネットで調べてもあまり出てこず、たまにしか発生しない話なので予習もできず、発生したと思えば複雑で対応を間違うと会社間の信用問題にかかわるので、慎重に行う必要があります。

ただ逆に言えば、ここでしっかりとした対応をすることができれば、ASPからの信頼も上がり、これからのやり取りがいままで以上にやりやすくなることもあります(私もこういった件を機に、ASPのご担当者と仕事外のコミュニケーションをとるようになり、担当から外れた今でも時々連絡を取り合っています)。

新たにアフィリエイト担当になり、ASP切り替えの話が出てきた方は、上司に相談しつつ、この記事を読みながら慎重に対応してみてくださいね。

それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました~!