この記事は、
「ブランディングってよく言うけど、結局どうやればいいの?」
「ブランディングを体系的に知りたい!」
という方に向けて書いています。
この記事は(一財)ブランド・マネージャー認定協会のテキストをもとに書いています。
また管理人は、ブランド・マネージャー1級資格取得者です。
目次
〇ブランディングは8つのステップで見える化できる!
もしいま、あなたが上司から「じゃあ、ブランディングよろしくね!」と言われたら、どうしますか?
「あっ、全然ヨユーです!」と返事できるような強者は、なかなかいないのではと思います笑。
ちょっと抽象的なイメージのある「ブランディング」という言葉ですが、実は、ブランディングは体系的に組み立てていくことで、きれいに整えることができるんです。
そこで今回は、ブランド・マネージャー認定協会で定義されている、ブランディングの8つのSTEPをご紹介します。
※そもそもブランディングって?という方は、下記記事をご参照ください。
https://dotsmarketing.net/2021/09/26/branding_toha/
〇STEP1. 環境分析による市場機会の発見
ブランディングの最初のステップは、環境分析をして市場機会を見つけることです。
環境分析とは、具体的には「PEST分析」「3C分析」「SWOT分析」です。
あなたは普段、競合だけでなく、世の中の流れをしっかりキャッチアップしていますか?国が注力しようとしている取り組みを把握していますか?というのも、国が取り組もうとしているジャンルなどは、大きな波に乗るチャンスだからです。
「医療難民ゼロ」「ステイホーム可能な経済対策」「電子ワクチン接種証明(ワクチンパスポート)活用・検査の無料化拡充」「感染症有事対応の抜本的強化」といったコロナ対策や、クリーン・エネルギー戦略や5G、AIなど、成長戦略としてあげられるジャンルは多数あります。
PEST分析で世の中の大きな流れを知り、3C分析で「自社・競合・顧客」を洗い出し、SWOT分析で内部外部の強みと弱みを整理する。これが、ブランディングのやり方の最初の工程です。
普段、社内の会話が「自社の売り上げが~、件数が~」となってしまっている場合は、一度こういった環境整理を行い、自分たちがどういう状況下にあるのか、俯瞰してみるとよいでしょう。
〇STEP2. 市場細分化
ブランディングのやり方の第2ステップです。
STEP1の分析でビジネスチャンス(市場機会)を見つけたら、その市場をどのように切り分けて考えるか。これがSTEP2.のセグメンテーションです。
例えば、コロナ禍における病床追加で、ベッド事業をすることになったとします。この時、ベッド市場を「医療用ベッド/家庭用ベッド」「シングルベッド/ダブルベッド」「低反発/高反発」「高級志向(高価格)/大衆志向(低価格)」「電動機能アリ/電動機能ナシ」「購入/レンタル」など、いろんな切り口で考えることができます。
こういった切り口をピックアップしていくのが、ブランディングのSTEP2.セグメンテーションです。
ブランディングにおけるセグメンテーションのコツは、切り口を決める時に「ここを狙おう!」と決めないこと、自社が狙いたい市場は?だけでなく自社が狙わない市場は?と自問すること、この2点です。
〇STEP3. 見込み客の選定
ブランディングのやり方STEP3、見込み客の選定は、やり方は簡単です。
STEP2で決めた切り口の中から、「ここを攻めよう」「ここは攻めない」と選びます。これをターゲティングと言います。
選定後、「おおよそこんな人に商品を買ってほしいよね」というのがある程度固まってきます。言い換えれば、セグメンテーションとターゲティングはペルソナを作る準備フェーズでもあります。
ターゲティングが完了したら、選定した項目の情報に齟齬がないよう、ペルソナを作成しましょう。
〇STEP4. 独自性の発見
ブランディングのやり方STEP4、独自性の発見です。
ここは「ペルソナ視点で、自社サービスは競合と並べてどのようなポジションにいるか」を考える作業です。これをポジショニングと言います。
ポジショニングでは、商品やサービスを「機能的価値」「情緒的価値」の2つに分けて、それぞれ競合とのポジショニングマップを作ると非常にわかりやすくなります。もっと深堀って行いたい場合は、「購買状況」など、他のマップも追加します。
縦軸と横軸の設定は、自社の強みで置くことができたらベストです。軸の候補がまったく思いつかない場合は、連想マップを作るとよいでしょう。連想マップは、また別の機会で解説しますね。
ちなみに、STEP2~4で行ってきた作業を、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の頭文字をとってSTP分析と言います。
ブランディングの中核作業でもありますので、セットで覚えてしまいましょう。
〇STEP5. ブランド・アイデンティティ
次はブランディングのやり方STEP5、ブランド・アイデンティティです。
ここでは、ポジショニングマップで見つけた差別化ポイントを「ブランド独自の価値」として、シンプルな言葉で伝わるようにします。そのシンプルな言葉を「ブランド・アイデンティティ」と言います。
ブランド・アイデンティティについての詳細は、下記記事をご覧ください。
https://dotsmarketing.net/2021/09/27/brand_identity_toha/
このステップまで定めることができれば、誰かに「○○ってどんなブランドなんですか?」「他社と違うポイントは何ですか?」と聞かれても、即答することができるはずです。
ただ1つ、注意点です。
ブランド・アイデンティティは社内向けのコピーに近く、きれいな言葉でまとめようとし過ぎないようにしてください。
きれいな言葉でまとめようとし過ぎると、どうしても抽象化した言葉になりやすく、時には社内メンバーですら「どういうこと?」となってしまいます。
社外向けには、のちのフェーズで「タグライン」として新たにまとめるとよいでしょう。
少し不格好でも、ブランド・アイデンティティはわかりやすくすることが大事です。
〇STEP6. 具体化
さて、STEP5までがブランディングの前半で、市場からブランドの形をくっきりさせる作業でした。
STEP6からがブランディング後半戦で、実際の施策や目標設定のフェーズに入ります!
ブランディングのやり方STEP6. 具体化では、マーケティング戦略を考える土台となる「4P/4Cマーケティングミックス」を固めます。
4P/4Cマーケティングミックスというのは、売り手視点である4P(よんシー)分析と、消費者視点である4C(よんシー)分析を組み合わせたものです。
4P分析は、下記の4つのPが含まれています。
- Product(製品):ターゲットに提供する商品やサービス
- Price(価格):商品やサービスの価格
- Place(流通):店舗や通販、品ぞろえ、輸送方法など
- Promotion(告知):広告、販売促進、PRなど
4C分析は、下記に4つのCになります。
- Customer Value(顧客価値):商品やサービスを通じて、どんな体験を得られるか
- Customer Cost(顧客の負担):実際に支払いやすい価格
- Convenience(入手容易性):近所の店舗や通販など
- Communication(コミュニケーション):SNS、各種イベント、カスタマーサポートとのやり取りなど
上記の番号は、それぞれ相関関係を持っています。
4C分析においては、ペルソナ目線で作成するとよいでしょう。
〇STEP7. 刺激の設計
次に、ブランディングのやり方STEP7、刺激の設計を行います。
ここでいう「刺激」というのは、「ブランド要素」と「ブランド体験」のことです。
ブランド要素というのは、ブランドを表現する最小単位の構成物のことです。例えばブランド名やロゴ、URL、匂いなどのことです。詳しくは下記記事をご覧ください。
https://dotsmarketing.net/2021/10/02/brand_youso_toha/
一方、ブランド体験というのは、言い換えればマーケティング戦略とほぼ同義です。認知~獲得~リピートの導線をしっかりチームで話し合って、戦略と戦術を固めるようにしましょう。
また、刺激の設計が完了したタイミングで、ブランドとしての「推奨規定/禁止規定」を決めておくとよいでしょう。
これは、先ほどの4P/4Cマーケティングミックスの項目に合わせて決めていけばOKです。例えば、Promotionの推奨規定に『開発背景を伝えること』と記載したり、禁止規定に『これをつかったらシミシワが全部消えた!?』といった表現などですね。
推奨規定/禁止規定を固めておけば、仮にブランド運営担当者がガラッと変わっても、同じルール下でひとまず運営することができるため、運営リスクは大きく下げられるでしょう。
〇STEP8. 目標設定
ついにブランディングの最後のフェーズ、STEP8. 目標設定です。
目標設定では、定量的な数字目標に加え、定性目標も決めておくとよいでしょう。
「4P/4Cマーケティングミックスをどれだけ遂行できたか」「推奨規定/禁止規定を、どれだけ守ることができたか」など、努力でコントロールできる定性目標も立てておきましょう。
〇おわりに
以上でブランディングのやり方は終わりです、お疲れさまでした!
いかがでしたか?
ブランディングという言葉は定着しつつあるものの、いざ「ブランディングってなに?」となると、けっこう抽象的な話になってしまうのではないでしょうか。
そんな時、今回ご紹介したブランディングのやり方でブランドを構築&見える化し、それを1つに束ねて資料として手元に置いておけば、統一感のあるアウトプットを出すことができます。
「いままで自己流でブランディングしてきたが、なんだか不安を感じている…」という方は、ぜひ試してみてくださいね。
それでは最後までご覧いただき、ありがとうございました~!