逆SEO対策とは、検索結果に出てくるネガティブな情報が目に触れる機会を減らすための取り組みです。実際に使える手段は、情報の削除を依頼することと、自社の情報で検索結果の上位を組み立て直すことの2つに整理できます。
一方で、競合サイトの順位を意図的に下げる攻撃的な手法も同じ呼び方をされており、こちらはGoogleのポリシー違反や法的リスクを伴います。本記事では両者を切り分けたうえで、実務で取れる手順と注意点をまとめます。
この記事を読んでわかること
- 逆SEO対策には守りと攻めの2つの意味がある
- 必要になるのは指名検索でネガティブ情報が出たとき
- 進め方は記録・削除依頼・相談・上位化・監視の5段階
- 競合攻撃はスパムポリシー違反で法的責任も生じる
- 業者選びは削除の確約と根拠の提示で見極める
逆SEO対策とは、検索結果でのネガティブ情報の露出を下げる取り組み
逆SEO対策とは、自社や自分に関する検索結果のうち、ネガティブな情報がユーザーの目に触れる機会を減らすための施策全般を指します。
通常のSEOが自社ページの順位を上げることを目的にするのに対し、逆SEO対策は特定ページの露出を下げることを目的にします。ただし現実に取れる手段は、削除を依頼するか、自社の情報を上位に押し上げて相対的に順位を下げるかの2つに限られます。外部から検索エンジンの順位を直接操作する方法は存在しない、という前提から出発するのが大切です。
守りの逆SEO対策と、攻めのネガティブSEO
逆SEOという言葉は、自社を守る施策と他社を攻撃する手法の両方を指して使われています。混同すると議論がかみ合わないため、最初に切り分けておきましょう。
| 区分 | 目的 | 主な手段 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 守りの逆SEO対策(風評被害対策) | 自社に関するネガティブ情報の露出を下げる | 削除依頼、公式情報の上位化 | 正当な取り組み |
| 攻めのネガティブSEO | 他社サイトの順位を意図的に下げる | スパムリンクの大量設置、コンテンツの無断複製 | ポリシー違反・法的リスク |
本記事で扱うのは前者です。後者はGoogleのスパムに関するポリシーに抵触するうえ、業務妨害や著作権侵害といった形で法的責任を問われるおそれがあります。
通常のSEO対策との違いは、評価する単位にある
逆SEO対策で使う技術そのものは、通常のSEOとほとんど変わりません。異なるのは、何を評価の単位に置くかです。
通常のSEOは流入やコンバージョンを増やすために、自社の個別ページの掲載順位を追いかけます。これに対して逆SEO対策では、企業名・サービス名・代表者名といった指名検索の結果画面全体を単位として見ます。1位を取ることよりも、上位に並ぶ10件をどんな情報で構成するかを設計する発想に近いと考えると、打ち手を選びやすくなります。
逆SEO対策が必要になる場面と、放置したときの影響
逆SEO対策を検討すべきなのは、企業名やサービス名で検索したときに、事実と異なる情報や誹謗中傷が上位に並んでいる状態です。
指名検索は意思決定の直前に使われる
指名検索は、すでに相手に関心を持った人が、最後の確認として行う行動だからです。
広告やSNS、紹介などで名前を知った人は、申し込みや応募の前に社名で検索し、どんな会社なのかを確かめます。その画面に根拠の不明な書き込みやまとめページが並んでいれば、商品やサービスの中身を見る前に判断が止まってしまいます。集客施策にどれだけ投資しても、この最後の接点で評価が崩れると成果につながりません。
採用・商談・取引審査にも波及する
影響範囲は購買にとどまらず、人を採る場面や取引先の審査にも及びます。
求職者は応募前に社名と口コミを組み合わせて検索しますし、法人取引では稟議の過程で取引先の評判が確認されることも珍しくありません。ネガティブな情報そのものより、公式の説明がどこにも見当たらない状態のほうが不信感につながりやすい、という点は押さえておきたいところです。
逆SEO対策の進め方5ステップ
逆SEO対策は、現状の記録から再発防止まで5つのステップで進めます。いきなり施策に飛びつかず、順番に手をつけることが遠回りを防ぐ近道です。
STEP1:検索結果の現状を記録する
最初に行うのは、何がどのキーワードで何位に出ているかを記録することです。
対象ページのURL、掲載順位、確認した日時、画面のスクリーンショットをまとめておきます。検索結果は日々変動するため、あとから状況を説明する必要が出たときに記録がないと手詰まりになります。あわせて、社名単体だけでなく、社名と評判、社名と口コミ、代表者名といった組み合わせでも検索し、どのキーワードで問題が起きているかを洗い出しておきましょう。
R記録は後回しにしがちですが、順位も掲載内容も変わるので最初に残すのが確実です。
STEP2:削除を依頼できる情報かを見極める
次に、その情報が削除を求められる性質のものかを判断します。
判断の軸は、事実と異なるか、権利を侵害しているか、サイトの利用規約に違反しているかの3点です。単に自社にとって都合が悪いだけの感想や評価は、削除の対象にはなりません。削除を求められると判断した場合は、サイト運営者やプラットフォームの問い合わせ窓口に申し出ます。
2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、大規模なプラットフォーム事業者には削除申出窓口の整備と公表、申出に対する調査、原則7日以内の結果通知などが義務づけられました。窓口の場所がわかりやすくなり、申し出の結果が返ってくるようになった点は、実務上の変化として押さえておきたいポイントです。
検索結果側への対応も選択肢になります。Googleは、連絡先情報や身分証の画像といった個人的なコンテンツについて、検索結果からの削除リクエストを受け付けています。ただしこれは検索結果からの削除であり、元のページが消えるわけではありません。元サイトから情報が消えれば、更新の過程で検索結果からも外れていきます。
(参考|Google 検索ヘルプ「Google 検索に個人的なコンテンツの削除をリクエストする」)
(参考|総務省「令和7年版 情報通信白書」情報流通プラットフォーム対処法の施行)
STEP3:自力で難しい場合は公的窓口に相談する
自分で削除依頼を出すのが難しい、あるいは依頼しても応じてもらえない場合は、公的な相談窓口を使えます。
法務省の人権擁護機関では、削除依頼の方法について助言を行うほか、事案によっては法務局が違法性を判断したうえでプロバイダ等に削除を要請します。専門用語を避けて手順を解説した削除依頼の手引きも公開されているため、社内で進め方を共有する資料としても使えます。総務省が支援する違法・有害情報相談センターでは、自分で削除依頼を行うための助言を受けられます。損害賠償や発信者の特定まで視野に入る場合は、弁護士への相談が現実的な選択肢になります。
(参考|法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」)
(参考|違法・有害情報相談センター)
STEP4:自社の情報で検索結果を組み立て直す
削除できない情報に対しては、自社発の情報を上位に増やして相対的に露出を下げます。ここが逆SEO対策の中心になります。
指名検索でどんな情報が求められているかを起点に、受け皿となるページを用意していきます。打ち手の例は次のとおりです。
- 公式サイトの情報を厚くする:会社概要、沿革、料金、よくある質問など、検索される内容を自社ページで明確に答えます。
- 社名と組み合わされるキーワードに答える:評判や口コミ、解約、料金といった語で検索する人に向けて、実態を説明するページを作ります。
- 公式の発信チャネルを増やす:オウンドメディア、採用サイト、プレスリリース、各種SNSの公式アカウントなど、指名検索で表示されうる面を増やします。
- 第三者からの言及を増やす:取材記事や事例紹介など、自社以外のドメインに正確な情報が載る機会をつくります。
いずれも、やることは通常のSEOと同じです。検索意図を満たす内容を用意し、検索エンジンが読み取りやすい構造に整える。この積み重ね以外に近道はありません。なお、同じような内容のページを大量に量産する進め方は、ランキングの操作を主目的とした大量生成とみなされるおそれがあるため避けてください。



「〇〇の△△(ネガティブな話題)は古い!~」のようなカウンターコンテンツを整えるだけで、印象が変わるケースは少なくありません。
STEP5:モニタリングと再発防止の体制をつくる
最後に、同じ状況が再発しないよう、定点観測の仕組みを整えます。
月に一度でよいので、社名や主要サービス名で検索し、上位の顔ぶれをスプレッドシートに記録していきます。Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートで、自社サイトがどのクエリで表示されているかを確認しておくと、指名検索の周辺でどんな言葉が使われているかも見えてきます。あわせて、問い合わせやSNSで寄せられた不満を社内で拾い上げる流れをつくっておくと、書き込みに発展する前に対応できる確率が上がります。
攻撃としての逆SEOを受けたときの確認方法
第三者から攻撃的な逆SEOを受けている可能性があるときは、Search Consoleの通知を起点に確認します。多くの場合、心配するほどの影響は出ていません。
代表的な手口と見分け方
攻撃として語られる手口は、おおむね次の3つに分類できます。
| 手口 | 内容 | 確認の手がかり |
|---|---|---|
| スパムリンクの大量設置 | 低品質なサイトから意図的に被リンクを送る | Search Consoleのリンクレポート、手動による対策の通知 |
| コンテンツの無断複製 | 記事をそのまま複製して別ドメインに公開する | 本文の一節を引用符付きで検索し、複製先を探す |
| なりすまし・偽アカウント | 社名を騙るサイトやSNSアカウントを作る | 社名での検索結果、各SNSの検索 |
Googleの見解と、取るべき対応
Googleは、第三者による順位の操作を防ぐ対策を講じており、ほとんどのサイト運営者はネガティブSEOを心配する必要はないとしています。
実際、被リンクを否認するリンクの否認ツールについても、ほとんどの場合はGoogleが自動的にリンクの信頼性を評価できるため、多くのサイトでは使う必要がないと説明されています。使うべきなのは、不自然なリンクに対して手動による対策を受けている場合などに限られます。手動による対策が実施されたかどうかは、Search Consoleの手動による対策レポートで確認できます。通知がないのに順位が下がっている場合は、攻撃を疑う前にアルゴリズムの更新や自サイト側の変化を点検するほうが先です。
コンテンツを無断で複製された場合は、著作権侵害による削除申し立てという手段があります。ただし複製されたページが必ずしも自社の順位を下げるわけではないため、実害の有無を確認してから動くのが現実的です。
(参考|Google 検索セントラル ヘルプ「サイトへのリンクを否認する」)
(参考|Google Search Console ヘルプ「手動による対策レポート」)
逆SEO対策でやってはいけないこと
他社サイトを攻撃する行為と、成果を確約する業者への丸投げは避けてください。いずれも、問題の解決にならないどころか、自社の立場を悪くします。
競合サイトへの攻撃は、ポリシー違反と法的リスクを伴う
検索結果を人為的に操作しようとする行為は、Googleのスパムに関するポリシーに違反します。ポリシーに違反したサイトは、掲載順位が下がったり、検索結果にまったく表示されなくなったりすることがあります。
さらに、他社の記事を無断で複製すれば著作権の問題になり、虚偽の情報を流して相手の業務を妨げれば、刑事上・民事上の責任を問われる可能性もあります。短期的に相手の順位を下げられたとしても、自社が負うリスクのほうがはるかに大きい、という判断が妥当です。
(参考|Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」)
成果を確約する業者には根拠を確認する
削除や順位下落を確約する提案には、必ず根拠を確認してください。
Googleは、検索順位でトップになれる秘訣は存在しないと明言しています。削除についても、応じるかどうかを判断するのはサイト運営者やプラットフォーム側であり、第三者が結果を保証できる性質のものではありません。依頼を検討する際は、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 何をもって成果とするかが契約書に明記されているか
- どのような手段で対応するのかを具体的に説明できるか
- 作業の内容とスケジュールが報告される仕組みがあるか
- 契約期間と解約条件が明確か
特に、手段を明かさないまま成果だけを約束する提案は要注意です。自社の名前で行われる施策である以上、何をされているかは把握しておく必要があります。
生成AI時代の逆SEO対策で変わること・変わらないこと
AIによる概要やAIモードが広がっても、逆SEO対策の基本は変わりません。むしろ、公式情報を整えておく重要性は高まっています。
Googleの生成AI機能は、検索インデックスから関連性の高いページを取得して回答を組み立てる仕組みのため、検索結果に並ぶ情報源の構成がそのまま回答の材料になります。自社に関する正確な情報がどこにも整理されていなければ、第三者の書き込みが相対的に参照されやすくなる、という関係です。
一方で、AI向けの特別なファイルを用意するといった施策は、Google検索では効果がないと説明されています。やるべきことは、公式サイトで一次情報を明確に示し、社名と一緒に検索される疑問に自社の言葉で答えておくこと。従来のSEOの基本を、指名検索の領域で丁寧に実行することに尽きます。
逆SEO対策は、消すことより組み立て直すこと
逆SEO対策の実態は、裏技ではなく、削除依頼と正攻法のSEOの組み合わせです。削除を求められる情報かどうかを見極め、求められない部分は自社の情報で検索結果を組み立て直す。この2つを並行して進めることが、遠回りに見えて最も確実な道筋になります。
また、他社を攻撃する手法はGoogleのポリシーにも法律にも触れうるものであり、選択肢に入れるべきではありません。生成AIが普及した今も、公式情報を整えておくという基本の価値はむしろ高まっています。
まずは自社名や自分の名前で検索し、上位10件に何が並んでいるかを記録するところから始めてみてください。そのうえで、評判や口コミといった組み合わせでも検索し、答えるべき疑問に自社の言葉で答えるページがあるかを確認することが出発点になります。









